親族や亡くなった人と親しかった方に遺品をわける形見分け。亡き人を偲んで行われますが、どうするのが正しいのかわからないという声も多く聞きます。実は、行うべき正しい時期やマナーがあります。
人生でそう何度も経験することはない形見分け。ここでは、皆さんに正しい知識を付けていただくために、わかりやすく解説していきます。
1、形見分けとは?
2、形見分けが必要なものとは?
3、形見分けを行うタイミングはいつ?
4、形見分けする際に気を付けることとは
5、遺品整理と形見分けの違いは?
6、形見分けのマナーQ&A
7、形見分けを受ける際のマナー
8、まとめ
まずは、形見分けの言葉の意味から説明します。形見分けとは、故人が身に付けていたり愛用していた遺品を、生前に親しくしていた人たちや家族、親戚に贈ることです。亡くなったその人のゆかりの品物を身近に置くことで、故人を偲び心の支えにしていただくために行います。形見分けは、お葬式などの儀式とは別の形で、亡き人を供養することにもつながるといえるでしょう。
形見分けの品々は、贈った品物を本当に喜んでくれる人、故人をよく知る相手に贈ることが重要です。おじいさんやおばあさんの形見を孫に贈ったり、甥っ子・姪っ子に贈ったり、親戚間でのやりとりはそれほど気を使うこともないかもしれません。
でも、お友達やお知り合いなどはちょっと気を使いたいもの。生前の交友関係のほか、贈る相手がどんな世代か、趣味や嗜好も考慮して選びましょう。また、故人が生前に使っていた「使用品」を贈るわけですから、贈る際には「ご使用いただけますか?」という気持ちを伝えることもとても重要です。
形見として贈る品物は、亡き人が着ていた洋服、アクセサリー、日用雑貨、小物、家具などが一般的です。それでは、品目ごとにより詳しく見ていきましょう。
故人が生前着ていた着物や洋服といった衣類の形見分けは古来より行われてきました。形見分けのことを「すそわけ」と呼ぶ地域もあり、衣類を分け合うことが由来という説もあります。
衣類は故人の生前の姿を思い起こしやすい品物です。洋服や着物など衣服は、気持ちよく着ていただけるよう必ずクリーニングへ出してから渡しましょう。和服を着る機会が減っている近年では、着物や帯を洋服やバッグ、小物などにリメイクするケースも増えています。
バッグや腕時計など愛用の日用品も、よく形見分けされる物です。日ごろからよく使用していたものだと、より故人の思い出を色濃く感じられます。また、誰でも使い続けやすい品が多いこと、比較的保管スペースがいらないことも形見分けしやすい理由のひとつです。
万年筆や機械式時計、カメラ、使いこんだカバンなどは、手入れや修理が必要なことも多々あります。きちんとメンテナンスし、使える状態にしてから贈るのがよいでしょう。
ジュエリーやアクセサリーなどの装身具も故人を懐古するものとして贈られます。サイズやデザインの好みなどが受け取る相手に合わない場合は、リサイズ・リメイクなどを完了した後贈るケースもあります。
ネックレスやイヤリング、ブローチのほか、男性ではタイピン、カフスなども。メガネは、使う頻度が高かったり、直接肌に触れたりするため、汚れていることもあるので注意しましょう。失礼のないように、メンテナンス・清掃は忘れずに
ただ、あまりにも鮮明に記憶をよみがえらせてしまうため、故人が亡くなったことが辛くなってしまう人もいます。遺品の受取人の気持ちを優先し、押し付けることのないよう配慮しましょう。
故人が映っている写真やビデオなどの映像は、懐かしい生前の姿をいつでも見ることができるため、形見のなかでも人気。
ただ、あまりにも鮮明に記憶をよみがえらせてしまうため、故人が亡くなったことが辛くなってしまう人もいます。遺品の受取人の気持ちを優先し、押し付けることのないよう配慮しましょう。
形見分けにはタイミングも重要です。宗教により、形見分けを行うのにふさわしいタイミングが異なることを覚えておきましょう。形見分けの由来は、ブッダが弟子へ自分の遺品を渡したことから始まるとされています。なお、以下に解説している日にちはあくまでも目安ですのでタイミングの参考にしてください。
仏教の場合、忌明けの目安となる四十九日の法要の後にするのが良いといわれています。四十九日までは遺族は故人の冥福を祈り過ごします。四十九日を過ぎると、故人が現世を離れると考えられており、遺族は日常生活に戻る忌明けとなります。
なお、「五七日(いつなのか)」と呼ばれる35日目に忌明けとなる法要を執り行う地域もあります。その場合、五七日の後に行います。
神道では、葬儀の次の日に翌日祭を営みます。その後、10日後に仏教でいうところの初七日にあたる「十日祭」を行います。
忌明けの法要となるのは「三十日祭」か「五十日祭」とされており、その法要の集まりに形見分けするのが一般的です。
キリスト教では、プロテスタント、カトリックどちらの場合にも、形見分けという概念はないため明確なタイミングの決まりもありません。ただし、日本では形見を分ける風習が根付いていて、キリスト教徒でもされる方はいらっしゃいます。それは宗教とはまた別に、遺品をただのモノとしては捉えず故人の魂がこもっている物という風水にもあるような考えがあるからではないでしょうか。
時期としては、ひと月後の月命日に実施される召天記念日の追悼ミサで行われる傾向が多いようです。
形見分けは金品や、資産的価値があるものを受け渡しする場合もありますので、気を付けないと法律的なトラブルに発展してしまうことも。形見分けを行う際に、気を付けるべきポイントを押さえておきましょう。
高額な品物や資産的価値があるものは、形見分けの場合でも相続税・贈与税の対象となってしまうケースがあります。高額な現金や、高価な貴金属類は贈られた相手の負担となってしまう恐れもあるため、十分な注意が必要です。
反対に、故人と親しかったのか分からないような人から、形見の分配を要求されて贈ったら、市場価値が高い品物だったという場合もあります。絵画や骨とう品など、正確な価値を判断できない場合は、安心できる専門家に鑑定を依頼してから、形見分けを行いましょう。
形見分けは、遺産相続が済んでから行わなければなりません。形見が高価な場合は遺産とみなされるため、相続人全員で高価な形見の分割を相談して決める必要があります。
法律的に優先されるのは遺産相続です。そのため、形見分けの品は、まず遺産として相続され、形見分けはその後に執り行われます。
事前に品物を専門家に鑑定してもらったり、価値の見積もりを出して金銭的価値をはっきりさせておくことでトラブル回避につながります。また、親せきなどに事前に話し、許可を得ておくことも重要です。
形見分けを行う際、もっとも重要なことは「故人の気持ち」であることを忘れてはいけません。生前に「この着物は娘に使ってほしい」など、譲りたい相手を考えていたことを知っていたなら、その遺志を尊重したいものです。
もちろん、こういった故人の遺志を確認できないことも多く、形見分けをして欲しいと思っていた品物を遺族が誤って処分してしまったというケースもあります。
このようなリスクを回避するには、自分の価値観だけではなく、他の人にとっての価値の可能性を考えることが必要です。遺族が親類や知人に電話をして、保存すべき遺品があるか確認したという話もあります。
とはいえ、全ての遺品を確認することは難しい場合もあります。専門家に助けてもらうのも一つの方法です。
それでは、形見分けと遺産整理とは何が違うのでしょうか? 故人が遺した品々ときちんと向き合い供養するためにも、形見分けと遺品整理の違いをきちんと理解しましょう。
遺品整理とは、故人の遺品を残しておくもの、処分するもの、などに仕分けていくことです。故人が亡くなり、まず、初めに行われるのが遺産の整理となります。
家の整理が必要になることもあり、多くのごみが出る場合や、掃除やハウスクリーニングが必要になることもあります。遺族がするケースもありますが、遺族がいない場合は専門の業者が行うケースも多くなっています。
形見を分けることは、遺品を家族や知人と分け合うため、故人の遺志や、贈られる相手の気持ちを尊重する必要があります。資産の分配を目的とした遺産分割とは違い、思い出の品物を分けること、故人の遺志引き継ぐことが形見分けです。
それでは、形見分けをする際に、守らなければいけない決まりやマナーはあるのでしょうか? マナー違反をしてしまったら…。故人にも申し訳ない気持ちになってしまいます。
ここではマナーに関するよくある質問をQ&A式にまとめました。贈られた相手が負担となったり、不快な思いをしたりするようなトラブルとならないためにも、ぜひ参考になさってください。
A.本来ならば直接お渡しする方が望ましいですが、遠方にお住まいの方だったり、時間が取れなかったり、重たいものやかさばるもので法要時には渡しづらいこともあるでしょう。現在では、形見分けの品物を郵送してもかまわないとされています。
ただし、形見分けは先方にきちんと連絡をしてから渡すのがマナーです。どういった形見の品で、故人の遺志ならその旨もきちんと説明し、受け取ってほしいとお伝えします。
郵便や宅配便で送るときには、故人の名前を記したお手紙を書き添え、きちんと梱包しましょう。
A.前もってお伝えせずに形見を突然贈ってしまうと、先方は驚くのはもちろん、プレッシャーを感じてしまう恐れもあります。また、物によっては受け取りたくないと感じる方もいるかもしれません。先方の意思を確認してから贈れば、トラブルにならず、快く亡き人を偲んでもらえるのではないでしょうか。
A.形見分けは、目上の人には贈らないのが慣例となっています。譲る相手は、故人の子、弟妹、甥や姪、後輩、部下など、目上の人から目下の人に贈るのが一般的です。
しかし、近年では上下関係や年齢を気にしない人も多くいます。どちらにしても相手の意向を確認しておくことが重要です。
目上の方に贈りたい場合は、非礼をお詫びする言葉を添えてお渡しするようにしましょう。
なお、目上の相手側から形見を希望される場合もあります。そうような場合は、なんら問題はありません。
A.「あの○○を譲り受けたい!」など先方からの強い要望がない限りは、汚れがひどいものや、壊れているものは避けたほうが良いでしょう。
実際に身に付ける可能性がある衣類の場合、クリーニングに出し綺麗にしてから形見分けします。家具も壊れているところはないか確認し、掃除をしてから贈りましょう。時計などの機械や、万年筆といった文具類は、きちんと使えることを確認することが重要です。壊れている場合は修理してください。
また、絵画や掛け軸、食器などは、職人による修理が必要となる場合もあり、専門業者に相談することを推奨します。
贈った相手が迷惑となるような品物では、故人を偲ぶという形見分けの意義が台無しです。壊れている箇所は修理し、きれいにメンテナンスしてから贈りましょう。
A.譲り受けたいものがあるときは、その旨を伝えてもマナー違反ではありません。声がかかるまで待っていると不要品として処分されてしまうこともありますし、それほどその物に興味のない方に贈ってしまうこともあるかもしれません。それでは亡き人も浮かばれないもの。
遺品を取り扱う遺族側からしても、声をかけてもらったほうが悩まずに済み、ありがたいと思うことも多いものです。
A.形見分けは、目上の人には贈らないのが慣例となっています。譲る相手は、故人の子、弟妹、甥や姪、後輩、部下など、目上の人から目下の人に贈るのが一般的です。
しかし、近年では上下関係や年齢を気にしない人も多くいます。どちらにしても相手の意向を確認しておくことが重要です。
目上の方に贈りたい場合は、非礼をお詫びする言葉を添えてお渡しするようにしましょう。
なお、目上の相手側から形見を希望される場合もあります。そうような場合は、なんら問題はありません。
A.形見分けの品物はプレゼントとは異なります。箱に入れたり、紙で包んだりするようなラッピングなどの装飾はタブーです。形見をそのまま相手に渡しても失礼にはなりません。
ただし、箱入りだったものや、たとう紙に包まれた着物などは、そのまま箱やたとう紙に入れて渡すことができます。
どうしても包んで渡したい場合は、半紙などの白い紙に包みます。水引を付ける必要はありません。その際、仏教の方なら「遺品」、神道なら「偲ぶ草」と表書きを添えても良いでしょう。
ごくたまに、形見分けとして新品を購入して贈る人がいますが、形見分けの意義に反しています。新品を贈るのは避けましょう。
遺品整理は不用品回収業者や運送業でもサービスを行うことが可能です。実際にそういったサービスを提供している会社は沢山あります。しかし、遺品整理士は遺品にまつわるサービスに幅広く対応しています。
例えば、形見分けや遺品のリサイクルなどの相談も可能です。また、孤独死で発見が遅れた場合の現場でも遺品整理に応じ、遺品の供養からハウスクリーニングまで、幅広い要望に応えます。不用品の処分やリサイクルも、供養の気持ちで一品一品向き合って扱います。
不用品回収業者は遺品かどうかを一切考慮せず、遺品の整理は行いません。ただし、処分するものが決まっているなら、安い料金で迅速に処分してくれるため、不用品回収業者に依頼する方がいい場合もあります。不用品回収業者の中には、遺品の買取を行っているところがあります。買ったばかりの家具や家電などが多くある場合も不用品回収業者を利用すると良いでしょう。
形見をわけるということは、故人が生前愛用していた遺品を親しい人たちに贈ることです。それによって、帰らぬ人を偲び、供養することにつながります。宗教によって慣習が違ったり、形見分けのタイミングや時期が異なるため、注意が必要です。
故人の冥福のためにも、しきたりやマナーを重んじて、トラブル、間違いのない形見分けを行いましょう。
石巻市、東松島市、登米市で遺品整理、不用品片付けを行ったいるオガハンでは形見分け品の発送代行、配送も承ります。
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