近年、映画やTVなどのメディアで取り上げられ注目されている「遺品整理士」。高齢化社会や核家族化という世相を背景として、遺品整理士の資格を取得する人も年ごとに増加しています。
今回は、遺品整理士のという資格がどのようなものなのか、その仕事内容や資格の取得方法などを、詳しくお伝えしていきます。遺品整理士の資格取得を考えている方なら必読です。
1、遺品整理士ってどんな資格?
2、遺品の仕分け
3、遺品整理士の資格を持つメリット
4、遺品整理士の資格取得までの流れ
5、遺品整理士の資格のデメリット
6、不用品回収業者との違いとは
7、まとめ
2011年公開のさだまさし原作映画「アントキノイノチ」でも取り上げられ注目された遺品整理士。昨今、急速に進む高齢化社会や核家族の増加などを背景に、遺品整理のニーズも高まる中で、遺品整理士という比較的新しい仕事にも注目が集まっています。
では、遺品整理士の資格とはどのようなものなのでしょうか? どんな仕事をするのでしょうか? 遺品整理士の資格について、詳細な仕事内容を含め解説していきましょう。
遺品整理士とは「一般社団法人 遺品整理士認定協会」が認定する民間資格です。資格を取得することで、法令遵守や命の尊さへの意識を高めることを理念としています。
遺品の取り扱い方から、遺品整理の進め方、遺品整理に係わる法規制の知識まで、正しく身に着けた専門家です。
遺品整理の必要性が増えている現代において、無許可の不用品回収業者によるさまざまなトラブルも増えています。大切な価値ある遺品を安価で買い取ったり、法外な料金を請求したり、金銭的なトラブルのほか、遺品の不法投棄や盗難などといった被害も報告されています。
遺品整理士は、トラブルを防止するための専門的な知識や、大切にしていたであろう故人の遺品を丁寧に扱い作業してくれるという信頼性が求められる仕事です。今後も成長が期待される業界において、信頼の証として遺品整理士の資格の取得希望者は年々増え続けています。
遺品整理というと男性の仕事とイメージされる方がほとんどですが、デリケートな品物を扱う遺品整理は、繊細な気配りができる女性が現場では求められています。
遺族も女性のスタッフの方が話しやすく、親切に対応してもらえるのでは…と考えるもの。大切な人を失い、気落ちしている中で気持ちに寄り添ってくれるのは、女性ならではのサービスといえます。
遺品を整理する仕事は、不用品回収業とは異なります。それでは、遺品整理士とは具体的にどのような仕事を行うのでしょうか? その仕事の概要を詳しく見ていきましょう。
まず、行わなければいけない仕事が、遺品の仕分けです。
時間や人出不足、遠方に住んでいる、その他諸々の事情で遺品を整理できない遺族に代わって、遺品の整理を承る専門家が遺品整理士です。
そこで、遺族と話し合いながら、遺品を「保管」「処分」「供養」の3つに仕分けします。形見分けや相続する遺族に分配するのものは「保管」。資産価値もなく不要であるものはゴミとして、価値のあるものに関しては買取りなどを利用して「処分」します。
遺品の中には貴金属や宝石類、通帳、有価証券など貴重品が紛れていることもあります。また、遺族にとっては大切な想い出の品もあるかもしれません。スピーディーな作業はもちろんですが、一つ一つ丁寧な作業が求められます。
遺族が処分すると判断した廃棄品は、自治体のルールに基づいて適切に処分します。多くの不用品は、可燃ごみや粗大ごみとして処分できます。
しかし、場合によっては自治体で処分できない遺品もあり、リサイクル品として取り扱ったり、不用品回収に処分を依頼したりして、正しく処理します。
なかには、遺族から供養を依頼される遺品もあります。
例えば遺影などの写真や手紙、てがみ人形、ぬいぐるみ、お守り、宗教に用いる道具、故人が特に大事にしていた想い入れのある品々などがあげられます。一般的には菩提寺で供養できますが、近年では菩提寺を持たない家庭も増加しています。
故人や遺族に菩提寺がない場合は、遺品を供養してくれる施設を紹介します。
故人が使っていた家や部屋の片付けも遺品整理士の仕事です。
そのため、家財の搬出や整理したあとの簡単な清掃なども遺品整理士の仕事のひとつに挙げられます。また、遺族がいない人の遺品整理を行う場合は、マンション・アパートのオーナーや不動産管理者から依頼を受け、部屋の掃除をはじめ消臭・除菌等ハウスクリーニングまで行う場合も考えられます。
家の売却や遺品の換金、遺産協議など、遺産相続に関わる相談をされることもあります。スマホやパソコン、タブレットにまつわるデジタル遺品に関する相談も増えています。インターネットバンキングやオンライントレード、ビットコイン等の仮想通貨、クレジットカード情報や電子マネーなどもデジタル遺品にあたります。それぞれの目的に合った専門家を紹介するのも、遺産整理士の重要な仕事のひとつといえます。
遺品を故人が生きた証ととらえ、故人の思いや人柄を偲び尊重して扱うことが重要です。遺品を単なる不用品としてではなく、供養の心を持ちひとつひとつの遺品に向き合いながら整理するという心構えが遺品整理士には大切です。
遺品整理士は遺品整理士認定協会が認定する民間資格です。そのため、無資格のリサイクル業者や不用品回収業、運送業者でも依頼を請け負うことができます。
では、遺品整理士の資格を持っていることで得られるメリットにはどんなことがあるのでしょうか? 具体的に解説していきましょう。
遺品整理士の資格取得のための教材から、遺品整理で実際に行う仕事内容や、廃棄やリサイクルするうえでの法規制まで、正しい知識を身に付けることができます。
教材には、教本・資料集・DVD・問題集が用意されており、業界の先輩や専門家の講義を受講できます。遺品整理士になるための基礎知識を一から学ぶことが可能です。
遺品整理士認定講座で、遺品整理士の基本ともいえる遺品への心構えを身に付け、プロとしての自覚と知識を習得します。
遺品整理のプロフェッショナルとして信頼されることもメリットのひとつです。
現状の遺品整理に関する法整備は、まだまだ未熟であるといえます。そのため、遺品を粗末に扱い不用品として不法に投棄したり、法外な料金を要求するような悪徳業者は後を絶ちません。
遺品整理士認定協会は、業界のモラル低下の抑止や、故人ならびに遺族の利益を守ることを目的として資格制度を導入しました。資格を持つことによってさまざまな知識を習得し、信頼できる遺品整理の専門家として活躍できます。
遺品整理士認定講座を受講すると、不用品や廃棄物を法に従って適切に処分するための知識を身につけられます。
廃棄やリサイクルに関する法律を詳しく学習し、不用品などの処分を法に沿った形で適切に行えます。故人の大切な遺品を正しく処分することは、故人への供養や、遺族への配慮につながります。
遺品整理士の資格を取得し、遺品整理士認定協会の法人会員になることで、さまざまなサービスを受けることができます。
行政や病院に加え、介護施設からの依頼や仕事のあっせんが受けられたり、大手遺品整理業の経営者や大学教授によるセミナーに参加できたり、人材紹介などのサービスが受けられます。
遺品整理の業者の増加で、依頼者と業者間でのトラブルも増えています。遺品を不用品として扱い、遺族や故人の思いをないがしろにするだけでなく、法外な料金の請求や、不法投棄など、モラルの低下が目立ちます。
遺品整理士養成講座受講は、正しい知識とプロ意識を持った遺品整理士の育成につながり、問題の是正や業界全体の改革と健全化が期待できます。
高齢化社会に伴い、今後さらに遺品整理のニーズは増加の一途をたどることが予想されます。現場での経験と実績を積み重ねれば、昇給も期待できます。また、ある程度の実績を積むことで独立・開業がしやすい業種と言えます。市場ニーズが高まる前に、今から実績を積んでおくことが重要です。
遺品整理士として活躍するにあたって、資格を取るためにはどのようなプロセスが必要なのでしょうか? また、どのくらいの勉強をすれば資格を取得できるかも気になるところですよね。まだまだ新しい資格ですが、資格取得者は年々、増加しています。
それでは、資格取得までの流れを詳しく説明していきましょう。
電話やWEBから、遺品整理士養成講座に申し込み、入会金2万5000円を支払います。別途2年間有効の会費7000円がかかります。受講資格は特にないので、誰でも受講可能です。
受講の期間は約2か月間が目安となっています。2か月間しっかり受講して、遺品整理士としての活躍を目指しましょう。レポートの提出延長を申請することも可能ですので、時間がないと思っている方も安心して受講できます。
申し込み手続き後に、教材が届いたら受講開始です。教材は教本、資料集、問題集、DVD。遺品整理への心構えや、法令に沿った不用品の取り扱いなどについて、受講できます。
DVDの講義を受け、教材を活用することで、不用品を適切に廃棄することや、故人の遺品に向き合う心構えをしっかり身につけます。
講座を受講し終えたら、問題集に沿って作成した課題レポートを提出します。提出方法は郵送とWEBからの提出のどちらかを選択。
このレポートによって合否が判定されるので、正確に答え、きちんとレポートを仕上げましょう。
レポート提出後から約2か月後に合否の結果が届きます。合格した場合は、指示に従って認定手続きを行いましょう。遺品整理士の資格取得まで、あと一息です。
認定書が発行され、遺品整理士の資格を手にすることができました。活動していくうえで参考になる資料も届きます。ぜひ、今後の活動に役立てていきましょう
なお、遺品整理士認定協会以外の、通信教育講座でも遺品整理養成講座は受講可能です。出題の傾向が分かる対策問題が用意されていることもあるので、そちらの講座を受講してみるのもひとつです。
遺品整理士の資格の合格率は65%。決して難関資格ではありません。また、自宅で受講可能な通信講座なので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
遺品整理は今後成長していく業界の1つですが、まだまだ広く一般に認知されていない業種であることも事実です。また、資格がなくとも遺品整理は可能です。そういった現状を踏まえて、遺品整理士の資格にはどんなデメリットがあるのかについて具体的に探っていきましょう。
遺品整理士は民間資格のため法的効力はありません。しかし、優良な業者を選ぶにあたり、ユーザーにとっての判断材料となります。資格を持つことで、確かな知識とプロ意識を持った遺品整理士として、遺族や依頼者からの信頼を得られます。
繰り返しになりますが、遺品整理士は遺品整理士認定協会が定める民間資格です。そのため、法的効力がないことを理解しておきましょう。
遺品整理士の資格がなくても、遺品を整理することは法的に可能です。罰則を受けるといったことはなく、何の問題もありません。また、資格があるからといって、遺品整理業において法的に優遇されることもありません。
しかし、遺品整理士の資格を取得することや、遺品整理士認定協会に入会することは、効率よく活動していくうえで重要です。2万人を超える会員や、多くの専門家と提携しており、膨大な情報や知識を効率よく入手できます。遺品整理士として独立・開業していきたい方は、取得することをおすすめします。
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遺品整理は不用品回収業者や運送業でもサービスを行うことが可能です。実際にそういったサービスを提供している会社は沢山あります。しかし、遺品整理士は遺品にまつわるサービスに幅広く対応しています。
例えば、形見分けや遺品のリサイクルなどの相談も可能です。また、孤独死で発見が遅れた場合の現場でも遺品整理に応じ、遺品の供養からハウスクリーニングまで、幅広い要望に応えます。不用品の処分やリサイクルも、供養の気持ちで一品一品向き合って扱います。
不用品回収業者は遺品かどうかを一切考慮せず、遺品の整理は行いません。ただし、処分するものが決まっているなら、安い料金で迅速に処分してくれるため、不用品回収業者に依頼する方がいい場合もあります。不用品回収業者の中には、遺品の買取を行っているところがあります。買ったばかりの家具や家電などが多くある場合も不用品回収業者を利用すると良いでしょう。
遺品整理士は、遺品に向き合い、遺族の代わりに遺品を整理するのが仕事です。法的な知識を得て、不用品を正しく処分できるプロフェッショナル。遺品を通して、個人の思いや人格を尊重し、命の尊さを実感できる職業です。
今後も発展し続けていく業界で、映画やメディアにも取り上げられている遺品整理士はますます注目されていくに違いありません。また、女性が輝ける業界の1つでもあります。仕事のやりがい、人に喜ばれる幸せを感じて働くことができるかもしれません。ぜひ資格の取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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