今や、生活必需品となったと言っても過言ではないスマホやパソコンなどのデジタル機器。幅広い年代で使用され、高齢者の利用者も増えています。デジタル機器の急速な普及に伴い、急激に増えているのが「デジタル遺品」のトラブルです。 ここではデジタル遺品とは何か、デジタル遺品と呼ばれるものにはどのような種類があるのか、起こりうるトラブルやデジタル遺品の取り扱い方にいたるまで、徹底的に解説していきます
1、デジタル遺品とはどんな遺品?
2、デジタル遺品が引き起こすトラブル
3、デジタル遺品のタブーとは?
4、正しいデジタル遺品の取り扱い方法とは?
5、ネットバンキングなどの財産の取り扱いについて
6、まとめ
デジタル遺品は、故人がスマホやパソコン、タブレットなどのデジタル機器に保存していたデータや、インターネット上に登録した個人情報などです。つまり、スマホやパソコンに残るすべてのデータが、デジタル遺品と言えるでしょう。
デジタル遺品は、ネットワークを使用していないオフラインデータと、ネットワーク上に存在するオンラインデータの2つのカテゴリーに大きく分けられます。
ここでは、「オフラインデータ」と「オンラインデータ」には、どんなものがあるのか、具体的に見ていきましょう。
簡単に言うとスマホやパソコン、デジカメ内に保存されているデータが「オフラインデータ」です。
外付けHDDや、USBメモリ、DVD、CD-ROMといった記録媒体に保存されているデータも含まれます。 代表的なものはスマホやパソコンに残された画像や動画、文章などです。多くの場合、家族との思い出や趣味の写真などが残されています。連絡先や住所録のほか、日記や予定表が残されていることもあります。 なかには、家族としては見たくない画像や動画が残されていることもあり、画像や動画を確認する際には、事前に心構えをしておくことが重要です。
SNSやブログ、メール、クラウドストレージなど、ネットワーク上にあるデータをオンラインデータと呼びます。また、さまざまなオンラインサービスを使う上でのアカウント情報もオンラインデータであり、デジタル遺品の中でも非常に重要なものです。
インターネットショッピングやオークション、インターネットバンキング、オンライントレーディング、仮想通貨、音楽や動画配信などのサブスクリプション、〇〇Payと呼ばれるQRコード支払いや、さまざまな企業のポイントサービスなど、その種類は増え続けています。 なかには、クレジットカード情報が登録されているブラウザやサービスもあるため、取り扱いには注意が必要です。
個人情報や取り扱いが難しいデータなど、持ち主がいなくなってしまったデジタル遺品を確認せず放っておくのは禁物です。アカウントの乗っ取りや、クレジットカードの不正決済など、思わぬトラブルのもととなります。 それでは、デジタル遺品を放っておくとどのようなトラブルを引き起こす可能性があるのか具体的な例を挙げて解説していきましょう。
ネット銀行やネット証券に遺されたデジタル遺品は、資産価値を有するため遺族の相続が必要です。しかし、インターネットバンキングなど、アカウント情報が分からず遺族がアクセスできないといったトラブルに発展することがあります。
また、相続が済んだ後に、ネット証券などの金融商品や、預貯金が発覚し、相続のやり直しとなってしまうケースも。借金が発覚することもあり、注意が必要です。なかには、FX(外国為替証拠金取引)口座を見落として、知らないうちに莫大な損失を被ってしまったという事例もあります。
故人の住所録やSNSなど個人情報にまつわるトラブルも心配です。故人の交友関係や、故人以外の友人知人の個人情報が流出してしまう恐れもあります。 また、SNSアカウントの乗っ取りにも要注意です。故人になりすましてデマを流される可能性もあります。
反対に、故人の連絡先やSNSにアクセスできなかったがために、故人の友人・知人に葬儀の連絡ができなかったという話も聞きます。 住所録やSNS情報のほかに、デジカメ画像や動画、文書などの取り扱いにも気を付けなければいけません。故人が遺した写真やビデオなどの画像や動画、文書などのデジタル遺産の中には、故人が人には知られたくないと思っていたものや、遺族が困惑してしまうデータが残されているかもしれません。
故人がサブスクリプションなどの定額制サービスに登録していたり、ゲームなどに課金していたり、会員制サイトに登録していた場合も、トラブルになりがちです。
有料サイトや会員制サイト、定額制サービスは月々の利用料が発生します。そのままにしてしまい、あとで膨大な料金を支払っていたことに気づくケースも多くなっています。ほかにも、サイトに登録していたクレジットカード情報を悪用される事例もあり、注意が必要です。
デジタル遺品の取り扱いには注意が必要だということがお分かりいただけたかと思いますが、デジタル遺品を扱ううえで、やってはいけないタブーはあるのでしょうか? トラブルの原因や、大切なデジタル遺品を台無しにしてしまうような扱い方のタブーについて解説していきます。
デジタル遺品は相続の対象です。そのため、遺品について遺族で話し合う前に、勝手に整理してしまうことは避けましょう。 話し合いを待たずに勝手に整理してしまったことが発覚すると、相続をやり直さなけらばならず、最悪の場合、相続をめぐり遺族の間で争うこととなってしまいます。
パソコンやスマホなどのデジタル機器をそのまま破棄したり、売却したり、譲渡することはデータ流出のトラブルにつながります。パスワードなどでロックが解除できないからといって、そのまま人の手に渡ることがないようにしましょう。 パソコンやスマホなどのハードには、メールアドレスやクレジットカード番号といった極めて重要な個人情報が保存されています。さまざまな情報に不正なアクセスをされたり、故人のデータが消失してしまったり、最悪の場合、悪用されてしまう恐れがあります。
パスワードが分からないのに、パソコンやスマホのほか、さまざまなアカウントにログインしようと、パスワードをやみくもに入力することもタブーです。 デジタル化が進んだ近年、スマホやパソコンはもちろん、メールアドレスなどの各種アカウントもセキュリティが厳しくなっています。 盗難対策やアカウントの悪用防止のため、パスワードの入力回数が制限されており、パスワードを連続して間違えるとログインできなくなったり、データが削除されたりする場合があります。
ここまで、デジタル遺品のトラブルや、タブーを見てきましたが、ここからはデジタル遺品の正しい取り扱い方を詳しく解説していきます。ぜひ、デジタル遺品のトラブルを回避する参考にしてください。
基本的に遺産の整理は故人の遺志を尊重して行うべきですが、突然死など遺言が残されていない場合は、遺族の判断で遺品の整理が行われます。その際、遺族や相続人できちんと話し合ってから、デジタル遺品の整理や相続を行うようにしましょう。
スマホやパソコンといったハード内部に保存された現金化できないようなオフラインデータは、故人の人格や考えを尊重して相続を話し合う必要があります。 また、記録されているハードに付随したものと扱われる場合もあり、ハードの相続人であれば、閲覧やアクセスできることもあります。
故人がネット銀行やネット証券などに遺した資産は、デジタル遺品として法定相続人全員で分けます。 まず、故人が亡くなったら、すみやかに銀行や証券会社に連絡し、口座を凍結しましょう。その後、法定相続人全員で、財産分与の割り振りを話し合います。その際、巨額な負債が残されている場合は、遺産放棄を含めて考えましょう。
もし、パスワードが分からなくてスマホやパソコンのロック解除ができないという場合には、デジタル遺品処理業者に依頼するという方法もあります。個人でロック解除を行おうとすると、失敗した場合、ロック解除できないばかりか、データが消えてしまうことがあるため注意が必要です。
専門業者なら、個人がロック解除するよりも高い確率で、安全にロックを解除しデータを取り出せます。しかし、相続人同士でトラブルに発展する場合もあるため、相続人全員の承認をとってから、ロック解除は行いましょう。
デジタル遺品は放っておくと、個人情報の流出や、クレジットカード情報の悪用など、大きな損失を招く恐れがあります。また、相続問題に発展する場合もあり、適切に対応することが重要です。 インターネットが普及し、ますますデジタル化が進んでいく現代。デジタル遺品もさらに複雑化していくことでしょう。その相続や取り扱いは十分配慮して行うことが大切です。故人の遺志に配慮し、尊重できる扱いを心がけたいものです。
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